2017/12/26

見積依頼について

見積依頼をお考えの設計者の方へ

工事の規模や予算の多い少ないよりも、設計者の熱意と人柄に期待します、また施工が難しい程、弊社の技術が生かされるチャンスと考え大変楽しみにしています。

しかしながら、近未来的な発想をする、どの建築家も工事費用となると、いきなり坪単価×延べ床面積と古典的な考え方、に陥ってしまうのが現実です。

坪単価とは、(昔、在来工法は殆ど同じ仕様であった為、木造の家を一棟建てるのに大工何人で何日かかるかにより床面積当りの施工費が計算され、また使用する材木代金も床面積に比例して増えた為、床面積の異なる建物を坪数で割り算し坪当りの工費の目安にしたもの、現在の様に、多種、多様性に富んだ建物には全く当てはまらない。)

見積りの基本は材料費+施工費、各工事の㎡単価及び、m単価とは

(材料費+施工費を㎡及びm数で割ったもの、100㎡の面積を材料代¥40.000と職人(¥24.000)が4日かかれば合計¥136.000㎡単価は¥1.360となる、同じ材料、面積であっても、施工が難しく、6日かかれば合計¥184.000、㎡単価は¥1.840となる、反対に施工しやすく、2日で終われば、合計¥88.000、㎡単価は¥880となる、積算資料などの㎡単価は、元来、公共工事(300㎡以上想定)の見積り用に作られたものであり施工面積が多く、施工しやすい事を標準(後者@880)として作られている上に、当然、材料ロスも少なく、大口の為、材料費も安く送料等も、軽減される、住宅等の工事単価(前者@1.840)とは比較にならない)

この様に、同じ工事においても難易度、等により大きな差となります。

見積もりの作成は戴いた図面から、その現場を施工する為の手順を考え、必要な材料を拾い出し、必要な施工人数を計算し作成されるもの、いかに、正確に、合理的に、段取りし、綺麗に作れるか、技術を駆使するもの、見積りも技術の内であると考えています。

工事金額を抑える方法としては、設計の目的、原型を保ちながら構造、意匠、設備、全てにおいて、施工者の立場から材料、施工方法について合理的な提案が必要です、無闇に単価を抑える事ばかり競争すれば充分な施工が得られないのは当然です。

通常、施主、設計者は工事金額を想定する方法として、この古典的な坪単価という方程式に当てはめて安易に計算してしまう、作成された見積りが予算に納まらなければ、見積もりがおかしい、25坪の木造で¥25.000.000 坪@100万もするのですかと怒り出すことさえあります、

安く見積もりが提示される工務店を探し求める作業は見積り内容に、拾い落としや、間違いがあったとしても都合良く解釈して工事を押し付けてしまうことになりかねません、安い場合は理由があるはず、

1.拾い落とし、数量間違いで安い場合、

2.材料の仕入れが安い場合、(大きく差は出無い)

3.施工費が安い場合(大きく差は出無い)

4.特殊な工事で施工方法によって差が出る場合

いずれにしても内容を確認して適正かどうか判断すべきです。

 

下記においては施主、設計者が納得出来る正しい施工者の選択方法を紹介します

見積り易い図面により、正しい見積りを作成し、理論的に見積もりを理解する

数量を読み取り易い図面、また数量を表示する事が重要です、通常無い納まりについては詳細図を書き、作り方を明確に表現すべきです、図面を書き過ぎると、見積もりする施工会社が難しく考えるあまり、見積り金額が高くなるのではと余計な心配をしてしまう設計者がいますが、自分の仕事に対して目を瞑ってしまう様では本末転倒と思われます。

現実を直視し、予算内に納める為には何をすべきか分析することが必要です

先ず、工事種類ごとに内訳書を分類することは当然ですが、各工種において出来る限り材料代と施工費を分けて表示する事をお奨めします、このことにより、施主の要求を満たす為に必要な材料の数量と施工費が明確になり理解し納得し易くなります。、

数千万の契約を結ぶ以上、内容について細かく説明を受け理解し納得してから契約を結ぶべきです、建設的に考える為の方法として道理に合った、筋の通ったものの考え方をするべきであり、施工者は見積り書においてもその内容が理解し易い表現方法を採用すべきであり無闇に値引き等すべきではありません。

競争、特命、のメリット、デメリット、について

競争見積りのメリット

1、工事項目及び施工単価、施工要領、について、複数社、比較する事により、見積り落とし、間違い等、見極められる。

2、競争により価格が下がる。

競争見積りのデメリット

1、複数の見積り内容について、正確に理解する労力を考えると大変な仕事量と成る。

2、見積り総額の多い少ないと施工の良し悪しは比例するとは限らず、選択が難しい。

3、設計が完了し正しく見積もれる内容まで記載する必要がある為、予算内に納まらず、変更しなければならない場合、大変な仕事量と成る。

4、施工者にとって無償見積りは大変な労力であり、確定して無い工事見積りにモチベーションを維持しにくい

5、価格を競うあまり、技術力を競えない状況に成り勝ちである。

6、良いとこ取りにより実現出来ない低価格を期待してしまう。

特命見積りのメリット

1、設計当初から施工について相談出来る為、予算監理が容易である。

2、施工者との連帯感が生まれ、協力し合った施工が出来る。

3、施工方法、施工要領について相談出来る為、無駄が無く合理的な工事を計画できる。

4、工事が確定している為、落ち着いて、確実で無理の無い正確な見積りが出来る。

5、全てにおいて計画的に進める事が可能と成る。

6、技術力のある施工会社を指名することが出来る。

7、施工者のモチベーションを維持する意味においては最適と考えられる。

特命見積りのデメリット

1、比較していない分、不信感を抱くと全てにおいて信用出来なく成る。

2、比較していない分、見積り間違いがあった場合見付け難い。

上記を見る限り、特命見積りのメリットを生かし、その他のデメリットをつぶす事をお奨めしたいところです、

施工会社を決定する方法として、施主は信頼のおける代理人として設計者を選任し、設計者が施工者との面談により施工会社の技術力を確認する事が必要と思われます。

お互いを尊重し合う関係を維持できる事が前提であり、その際、見積もりを取ることにより、正に施工しようとしている現場について、どの様な体制と施工方法で、望んでいるけるか確認し、意見交換することが最善の方法と思われます。

見積り依頼の相談を受け、設計者の狙い、施主の希望、等を伺う事は大変楽しみなことであります、計画を聞いた瞬間、何がひらめき、どう対処するか、瞬時に回答する、設計者の考えを聞き、互いに受け答えしながら、力量を探り合う行為は緊張感が有る上に、わくわくして大変楽しみなことであります、その時点で設計者は最善と思われる工法を提示しているはずであり、また不安な部分等についての認識も持ちながら施工者に相談しているはずです、相談された施工者がどのような回答が出来るか、どの様な手順で施工していくのか、聞き出す事が重要であり、見積り金額のみの判断では無く、適正な技術力を持つ施工会社を選定することが必要と思われます。

施工について

施工前には施工図にて納まりを確認します、

通常描く施工図としては、仮設計画図、遣り方図、基礎伏せ図、躯体図、矩計図、配筋詳細図、型枠施工図、開口部廻り詳細部、鋼製建具詳細図、配管施工図、平面詳細図、枠加工図、各部納まり詳細図、建具納まり詳細図及び加工図、家具詳細図及び加工図、階段詳細図、等があります、これらの図面から、材料の寸法を確定し、数量を拾い、納期、金額、を確認して発注します、簡単な物ばかりでは無く、殆どの物を手配します、また加工図面により工場加工出来る物は加工に出し精度を高め、納期を短縮します、これらの仕事は、品物の性質、納期、価格、付随する材料、納め方、性能、まで知る必要が有り、施工者として巾広い知識と、応用能力を身に付ける事が出来ます、職人さんには、技術のみを提供してもらう、技術を売る事が仕事であるはずの職人さんに、材料の手配までさせて仕事が出来るはずが無い、材料を注文するのも相当の手間がかかります

基本設計図を元に詳細な施工図面を起こし設計者と施工者が検討を重ねる事は、より良い建築となる手順である事は間違いありません、住宅レベルでこれらの手順を踏まず、知識も無いまま、全て下請けに任せる方法では責任感も無く、材料費、施工費、について知る必要も、知る術も有りません、教えられた㎡単価だけを覚え、下請けの手配をするばかりでは、本質が分らず空虚な仕事しか出来ません、同じ設計図面にもとずいた施工であっても施工体制によって掛かる費用も仕上がり感も大きな違いがでます、

個々の工事について

躯体工事は施工図により墨出しの基準から作図し、建具、家具、仕上げ、設備、等との取り合いの詳細まで全て検討しておく必要があります、その上で構造として成立しているかは構造事務所にてチェックして戴き、承認を受けてから着工となります

木製建具は施工図により枠との納まりを検討し確定した寸法で直接建具工場に注文しますが、丁番、レバーハンドル、ドアクローザー、等の納まりも加味しないと出来上がった建具に下地が無いと取り付け時に問題となります、取り付けは吊り込み専門の職人さんに御願いしています。

家具、キッチン工事は家具詳細図から組み立てが出来る加工図まで作図し、加工屋さんにて精度良く加工したものを搬入し現場で組み立てる方法を取っています、この為、家具の養生、運搬費が省かれます、また家具の面材と壁、建具、の面材が同じ場合、木目を合わせて、材料を注文、建具工場、現場、加工屋さんに割り振って支給する為、面材の質感も統一され一体感が得られます、また取り付け部分の台輪、幕板、支輪等が不要であり、綺麗な納まりが可能です、当然用途に合わせた、スライド丁番、引き出しレール、設備機器、備品等も手配し、コーリアンのカウンターはメーカーへ、SUSのカウンターは金属材料屋さんへ注文します、ピアノ塗装の様な仕上げの場合は建具のみ取り外し、吹き付け工場にて塗装のラインに乗せてもらいます、これらにより工事費用は6割程度に抑えられます、

金物工事は小さな部品、製品は直接加工屋さんへ、カーテンウオール、トップライト、階段、等は施工図を描き鉄骨屋さんへ注文しています

木材を仕入れる材木屋さんは用途により4社に御願いしています、

材木の扱い高1.2.を争う商社、小回りの効く材木店、加工の出来る製材、加工屋、建材が得意な材木屋、等それぞれの得意分野を活かして納めてもらっています。

内装材料、建材、サッシ、住宅設備、照明器具、等は取り扱いメーカーごとに分けて注文しています。

これらの仕事は詳細な施工図を描く事により1mm単位まで明確になり、間違いや無駄の無い注文をする事が出来ます、また設計次第で世の中に無い、画期的で意匠性に優れたものが作れます、この体制は建築会社だけでは成立せず、受け入れ体制が無いと出来る事ではありません、それぞれの問屋さん、加工屋さん、職人さん、との関係は会社設立後20年を経て作られたものであり、この体制こそが弊社の特徴であります。

これらの体制の違いを理解していただき、建設費だけでなく、先進で創造的な建築のありかたを共に深めていきたいと考えております。

厳しい仕事をしながら、お互いに尊重し合える事が、最も重要であり、設計する楽しみ、作る楽しみが、住む楽しみ、に繋がることと考えております。

株式会社アイガー産業

代表取締役 藤井 徳昭